ブログ
海外展示会物流の実務・現場の知見をまとめています。
このブログについて
国際展示会の物流にまつわる制度の話を書いています。ATAカルネ、通関、コンテナ規格、船社のサーチャージ。現場で毎日使っている仕組みなのに、なぜ今の形になったのかを知らないまま使っていることに気づいたのが、書き始めたきっかけです。
書き手について
書いているのは佐々木慎。2004年から会社員として、国際的な展示装飾会社の東京拠点で国際物流を担当し、オリンピックやモーターショーの現場に立ってきました。2011年に独立してからも、欧米・アジアの主要な会場へ出展物を送り出し、今も自分で現場に足を運んでいます。
オリンピックの会場に納める貨物も、モーターショーの実車も、共通しているのは締め切りが動かないことでした。輸送そのものより、その前後にある判断——カルネを使うか通常輸入か、どの約款で受けるか、現地で止まったときに誰へ何を出すか——そこに時間の大半を使ってきました。
日本はいつ、この輪に入ったのか——万博と、1973年の法律
1970年の大阪万博を、日本はATAカルネなしでやり切った。その3年後に公布された昭和48年法律第70号は「保証の連鎖」をそのまま国内法の条文にしている。日本がATA条約に加わるまでの経緯。

展示会に食品を持ち込む|「展示だけ」と「試食」で手続きが変わる
少量の展示用サンプルなら食品等輸入届出は要りません。ところが会場で試飲や試食を出すと決めた瞬間に必要になります。一方で動物検疫と植物検疫は用途を見ません。FOODEX JAPAN 2024でウクライナパビリオンの食品輸入を担当した経験から、動かない会期から逆算した実務を整理します。
ワシントン条約(CITES)|展示品に紛れる規制対象と輸出入の許可
発端は1960年代のハンドバッグでした。ワニ革と毛皮のブームが条約を生み、日本は象牙とべっ甲で長く矢面に立つことになります。歴史をたどりながら、附属書I・II・IIIの違い、ATAカルネでは免除されないこと、そして誰が該当性を判断するのかを実務の順序で整理します。
展示品の梱包と輸出梱包の違い|往復する荷物で起きること
展示品の梱包が普通の輸出梱包と違うのは、開けた箱をもう一度使って戻ってくる点です。開梱するのは梱包した人ではなく、空箱は会期中どこかに置かれる。木箱と鉄箱の性質、木材のカビ、ISPM15、バリア梱包の有効期間まで、往復する荷物に起きることを整理します。
コンテナの壁はなぜ波打っているのか|強度・内寸・固定のしくみ
あの凹凸はコルゲーションといい、薄い鋼板で強度を出すための構造です。ただし荷重を支えているのは壁ではなく四隅の柱。だから内寸はカタログどおりには使えません。段積みを支えるツイストロック、木でできた床、鍵ではないシールまで、箱の側から見た実務を整理します。
ATAカルネはなぜ生まれたのか——「物品のパスポート」の六十年
展示会の現場で貨物より先に動く緑の冊子、ATAカルネ。1961年のブリュッセルで設計されたのは書式ではなく「保証の連鎖」という信用の構造だった。その成り立ちと、便利さと引き換えの制約を辿る。

バンコク2大展示会場:IMPACTとBITECの違いを現場から
ProPak Asia 2026参加を機に、IMPACT・BITECそれぞれの現場感覚を整理。規模・アクセス・会場の雰囲気の違いを出展物流の視点から。
LSS(低硫黄サーチャージ)とは|請求される理由とBAF・EBSの違い
LSSは船社が自主的に設定するサーチャージで、IMOが義務付けたものではありません。始まりも2020年ではなく2015年です。BAF・EBSとの違い、どの区間で請求されるか、EU ETSやFuelEUで何が増えているかまで実務目線で整理します。
消防法の危険物なのに、UN危険品ではない——境界は「60℃」にある
消防法の第4類は引火点250℃未満まで拾うが、UN分類のクラス3は60℃以下。この帯に第3石油類・第4石油類・動植物油類がまるごと入る。なぜズレるのか、非該当でも荷物が止まるのはなぜかを整理します。
JRコンテナと海上コンテナの違い|12ftと20ft・40ftの寸法比較
JRコンテナが12ftと小さいのは狭軌のせいではありません。決めたのは当時の道路事情と、明治以来のトンネル断面でした。12ft・20ft・40ftの寸法を並べて比較し、港から内陸へ海上コンテナを運べない理由まで解説します。
輸出入者符号とは?法人番号・JASTPROコードとの違いと調べ方
輸出入者符号は番号の名前ではなくNACCSの入力欄の名前で、3種類の番号を受け付ける。法人番号への一本化がなぜ実務に拒否されたのか、どれを使うと申告が速いのかまで整理します。