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原産地証明書(COO)とは?展示会・輸出実務で迷わない基本とチェックリスト


ビーチ


対象読者:海外営業/貿易実務/展示会ロジ担当(初~中級)


この記事でわかること


  • 原産地証明書(COO)の目的と種類

  • いつ必要で、誰が発行するのか

  • 申請に必要な書類(一般COOとFTA/EPAでの違い)

  • B/LやAWBは必要?展示会・ATAカルネとの違い

  • 失敗しないチェックリストとよくある質問


1. 原産地証明書(Certificate of Origin, COO)とは


輸出品がどこの国で生産(または実質的に加工)されたかを公的に証明する書類です。主な目的は次の2つ。


  • 関税優遇(FTA/EPA):協定に基づき関税を引き下げまたはゼロにする。


  • 通関・取引要件の充足:輸入国法令やL/C(信用状)で添付が求められる場合に対応。

注:ATAカルネは「一時輸入」用の通関手帳で、原産地証明とは別物です。

2. 種類(ざっくり整理)


2-1. 一般(非特恵)原産地証明


関税優遇を狙わず、原産国の表示・確認を目的とするもの。日本では各地の商工会議所発行が一般的。


2-2. 特恵(FTA/EPA)原産地証明


協定ごとの原産地規則を満たした場合に適用。方式は協定により以下のいずれか(または併用)。

  • 指定機関発給の専用様式(例:EUR.1などの協定フォーム)

  • 輸出者の自己申告(原産地声明):認定輸出者制度等を利用



3. 誰が発行する?


  • 一般COO:各地の商工会議所が発給。

  • FTA/EPA:協定ごとに異なる。指定機関発給または輸出者自己申告のいずれか



4. いつ必要になる?


  • 関税優遇を使いたいとき(FTA/EPA適用)

  • L/Cや相手先条件にCOO添付が明記されているとき

  • 地域・国特有の要件(例:中東など一部で領事認証を要求)



5. 申請に必要な書類(基本)


5-1. 一般COOで通常求められるもの


  • インボイス(発行日・番号・品名・数量・金額)

  • パッキングリスト(重量・容積)

  • HSコード(貨物分類)

  • 船積み情報(分かれば)


5-2. FTA/EPAで追加されやすいもの


  • 原産判定資料(製造工程、材料内訳、原価計算書など)

  • 原産地規則に関する根拠(完全生産、実質的変更、付加価値基準 等)

  • 記録保存体制(自己申告の場合は特に重要)



6. B/LやAWBは必要?(よく聞かれるポイント)


結論:発給の“必須”ではないことが多いです。ただし例外あり。



例外・注意点


  • L/C条件で「COOに船名・B/L No.・積載日記載」などの指定がある。

  • 領事認証(中東等)でB/L写しの提出を求められることがある。

  • EPAの直接輸送要件の証明でB/Lが裏付けになることがある。


実務TIP:出荷前に申請する場合はまずインボイス/PL中心で申請。出荷後に出たB/L情報と整合(船名・日付・番号)させましょう。

7. 展示会貨物とATAカルネの関係


展示会への一時持込みはATAカルネが基本。COOは原則不要ですが、相手先が要求するケースはあります。その場合は一般COOで対応。カルネとCOOは役割が違うため、両方求められることも想定しておきます。



8. よくある略語の誤解


  • WO = Work Order(作業指示書):COO発給の必須書類ではない。ただし原産判定の参考資料として使えることはある。

  • W/O = without(〜なし):L/Cや相手先指示に出てくる省略表現。解釈ミスに注意。



9. 申請の流れ(一般的なステップ)


  1. 要件確認:仕向国・協定の有無・取引条件(L/C等)

  2. 書類準備:インボイス/PL/(EPAなら)原産判定資料

  3. 発給申請:商工会議所または協定の指定方式に沿って申請

  4. 受領・整合確認:インボイス・B/L(必要時)・COOの記載一致

  5. 相手先提出/通関:必要に応じて領事認証手配



10. 失敗しないコツ(チェックポイント)


  • インボイスとCOOの完全一致(品名、数量、重量、金額、発行日/番号)

  • HSコードの整合(申請・インボイス・輸入申告でズレない)

  • 原産地規則の理解(協定ごとに基準が違う)

  • 期限管理(協定に“積送後○日以内発給”などの制限がある場合)

  • 領事認証の要否(地域要件を事前確認)



11. 英文ひな形(コピペOK)


  • COO要求文

    We kindly request a Certificate of Origin issued by the Chamber of Commerce, indicating Japan as the country of origin, matching the commercial invoice no. XXXX dated YYYY-MM-DD.


  • EPA原産地声明(例文・要調整)

    The exporter of the products covered by this document declares that, except where otherwise clearly indicated, these products are of preferential origin under the [Agreement Name].


※協定名や輸送情報、品名・数量は案件ごとに差し替えてください。商工会議所の担当の方やご利用するサービス担当の方と必ず確認して調整ください。



12. まとめ

  • COOは原産国を証明するための基本書類。一般COOFTA/EPAで要件が異なります。

  • B/L/AWBは原則不要ですが、L/C・領事認証・EPAの直接輸送などの事情で必要になる場合があります。

  • 展示会貨物ではATAカルネが基本。必要に応じて一般COOを追加。



付録:COO申請チェックリスト


  •  仕向国/協定有無(FTA/EPA)を確認した

  •  インボイス(番号・日付・品名・数量・金額)を確認した

  •  パッキングリスト(重量・容積)を確認した

  •  HSコードの整合を確認した

  •  (EPA)原産判定資料を準備した(工程・材料・原価)

  •  L/C条件にあるCOO記載事項(船名・B/L No. 等)を確認した

  •  領事認証の要否を確認した

  •  B/L/AWBが必要な場合、COOとの記載整合を確認した

  •  期限(発給・提出)を管理した



FAQ

Q1. 商工会議所の一般COOとEPA用のCOOは同じですか?


いいえ。目的・根拠・書式が異なります。一般は原産国表示、EPAは関税優遇の根拠です。


Q2. 出荷前でも申請できますか?


可能です。出荷後にB/L情報が出たら、必要に応じてCOOの記載と整合させてください。


Q3. 展示会の一時輸入にCOOは要りますか?


原則はATAカルネで十分です。ただし取引先や主催者がCOOを求めることがあるため、一般COOを併用するケースがあります。


Q4. WO(Work Order)は必要書類ですか?


必須ではありません。ただし原産判定の参考資料として使える場合があります。


 
 
 

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