輸出入者符号とは?法人番号・JASTPROコードとの違いと調べ方

輸出入者符号は番号の名前ではなくNACCSの入力欄の名前で、3種類の番号を受け付ける。法人番号への一本化がなぜ実務に拒否されたのか、どれを使うと申告が速いのかまで整理します。

2023年10月28日公開 / 2026年7月 全面改稿

輸出入申告の画面には、「輸出入者符号」という欄がある。

一見、ただの識別番号を入れる箱に見える。ところがこの欄、三種類の異なる番号を受け付ける。しかも、どれを入れるかで、その後の入力の手間が変わる。

「番号なんてどれでも同じだろう」と思って選ぶと、あとで余計な作業が発生する。この記事では、そのあたりまで含めて整理する。

まず結論

輸出入者符号とは、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)の入力欄の名前である。番号そのものの名前ではない。

この欄に入れられるのは、次の3つ。

番号発給者桁数
税関輸出入者コード税関
JASTPROコード(日本輸出入者標準コード)日本貿易関係手続簡易化協会12桁
法人番号国税庁13桁

自社の法人番号を知りたいだけであれば、国税庁の法人番号公表サイトで社名から検索できる。事前の申請も登録も要らない。

国税庁 法人番号公表サイト

ここまでが答えだ。以下は、なぜ三つも並んでいるのかという話になる。

番号が三つある理由は、歴史である

もっとも古いのはJASTPROコードだ。正式には「日本輸出入者標準コード」といい、貿易手続きの電子化を進めるために1983年から発給が始まった。12桁。発給は一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会が有料で行っている。

税関輸出入者コードは、税関が発給するもの。日本で貨物を輸出入しようとする者を識別するために使われてきた。

そして法人番号。これは貿易の世界の外から来た。2015年の法人番号制度によって、すべての法人・団体に13桁の番号が割り振られた。税務も社会保険も統計も、この番号で串刺しにする——行政全体の効率化のための番号である。

三つ目だけ、出自がまったく違うことに注意してほしい。前の二つは「貿易のための番号」だが、法人番号は「行政のための番号」なのだ。

2017年10月、三つ目が入ってきた

2017年10月のNACCS更改で、法人番号が輸出入者符号として使えるようになった。

これは大きな変更だった。法人番号は、税関発給コード担当への事前登録手続きなしに輸出入申告に利用できる。 申請も、審査も、手数料もいらない。すでに全法人に配られているのだから、当然といえば当然だ。

これに伴い、法人番号を持つ法人に対する税関輸出入者コードの新規申請・変更申請は、2017年に終了している。

つまり、法人番号を持っている会社が今から新しく税関輸出入者コードを取ることは、もうできない。

ここからが面白いところ

素直に考えれば、「無料で、申請不要で、全法人が持っている番号があるなら、それに一本化すればいい」となる。

実際、当初はその方向で検討されていた。JASTPROコードや税関発給コードに代えて法人番号を使う、という構想である。

ところが、これが実務でひっかかった。

NACCSの申告画面では、JASTPROコードを入力すると、輸出入者の名称・住所などの情報が自動で補完される。コードに登録情報が紐づいているからだ。ところが法人番号にはこの自動補完が効かない。全部、手入力になる。

一件や二件なら気にならないが、日々何十件と申告する現場では、この差は無視できない。関係業界からの反対を受けて、結果としてNACCS申告業務では引き続きJASTPROコードや税関発給コードを使えることとされた。

一本化は、実務の側から拒否されたわけである。

誤解が生まれた本当の原因

さらに厄介なことが起きた。

NACCSの仕様では、法人番号のための入力欄を新しく作らず、もともとJASTPROコードや税関発給コードを入れていた欄をそのまま流用したのだ。

同じ箱に、三つの違う番号が入る。しかも自動補完が効く番号と効かない番号が混ざっている。

「法人番号があればJASTPROコードは不要なのでは?」という誤解が業界に広まった最大の原因は、おそらくここにある。欄が同じなら、同じものだと思うのが自然だ。

正確には、こうなる。

  • 法人番号は、単独で輸出入者符号として使える
  • ただし自動補完は効かないので、申告事項は手入力になる
  • JASTPROコードを持っていれば、そちらを入れたほうが実務は速い

「使える」と「使ったほうがいい」は別の話だ、ということである。

紐付けされている場合の挙動

もうひとつ知っておくと混乱しない点がある。

法人番号を持っていて、それがJASTPROコードまたは税関輸出入者コードと紐付けされている場合、輸出入者符号の欄にコードを入力すると、申告時にシステム上で自動的に法人番号へ変換される

つまり、入力するものと出力されるものが違う。法人番号を持っていない場合は、入力したコードがそのまま出力される。

「うちはコードを入れているのに、申告データには法人番号が出ている」という現象は、故障ではなく仕様である。

調べ方

法人番号を調べる場合は、国税庁の法人番号公表サイトで社名や所在地から検索できる。誰でも見られる公開情報で、取引先の番号も確認できる。

国税庁 法人番号公表サイト

輸出入者コード・税関輸出入者コードを調べる場合は、かつて提供されていた一覧の配布が終了している。NACCSの「輸出入者情報照会(IIE)」業務で照会する形になる。

合併で法人番号が変わったとき

合併で法人番号が変わると、JASTPROコードは引き継げない。 1つの法人番号につき1コードが原則で、法人番号の変更は受け付けられていない。社名も住所も同じでも、法人番号が違えば別法人として扱われる。この場合は新規登録が必要で、消滅する側のコードは抹消申請を行う。

合併で法人番号が変わらない場合は、既存コードをそのまま引き継げる。ただし社名・住所・電話番号が変われば、変更手続きが必要になる。

法人番号が変わるかどうかは、合併の形式によって決まる。

まとめ

輸出入者符号は、単なる識別番号の欄に見えて、1983年から続く貿易手続き電子化の地層がそのまま積み重なった場所である。

貿易のための番号が二つあり、そこへ行政のための番号が後から入ってきた。統合しようとしたら現場の実務が邪魔をして、結局三つが並んだまま今日に至っている。

自社がどの番号を使っているか、そして自動補完が効いているかどうか。一度確認して、書き留めておくことをおすすめする。


参照

  • 税関「9703 輸出入者符号について」(カスタムスアンサー)
  • 税関「税関発給コード申請手続き」/「各用語の解説」
  • 一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)
  • 国税庁 法人番号公表サイト
  • 日本貿易振興機構(ジェトロ)貿易・投資相談Q&A「輸出入者符号取得のメリット:日本」

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佐々木 慎 / 株式会社パシフィック

2004年から国際展示会の物流に携わっています。

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