まず、2024年問題ですが、今年4月から施行されたトラック運転手の残業時間の上限規制が物流業界に大きな影響を与えています。
※「2024年問題」2024年4月から運輸・建設・医療の3業種で、働く人たちの時間外労働、つまり残業の上限規制が始まりました。
具体的には、年間の残業時間が960時間に制限されるため、これまで許容されていた長時間労働ができなくなります。この規制により、輸送能力が約14%減少するとの見通しがあり、特に地方での影響が懸念されています。
これに対処するため、海上輸送や鉄道輸送へのモーダルシフトが進められています。特に、自動運転技術を利用した自動航行船が注目されており、船舶の運行効率を向上させることで、人手不足の問題を解消しようとする動きがあります。また、ロールオン/ロールオフ(
RORO)船を利用してトラックドライバーの労働時間を短縮する試みも行われています
これらの取り組みは、日本の物流業界が直面している課題に対応しつつ、持続可能な成長を目指すものです。
輸送能力が約14%減少するという見通しに伴う懸念として、特に地方での影響が深刻視されています。具体的には、次のような懸念が挙げられます。
1. 地域経済への影響:
地方では、物流ネットワークの脆弱性が顕著であり、輸送能力の低下が地域の経済活動に直接的な影響を与える可能性があります。特に、地方の中小企業は、物流が停滞することで生産や販売に支障をきたし、経済活動が縮小する恐れがあります。
2. 生活必需品の供給不安:
地方の住民は、日常生活に必要な物資を都市部からの供給に依存しているケースが多いです。輸送能力の減少により、これらの物資の供給が滞り、生活必需品の入手が難しくなる可能性があります。
3. 輸送コストの上昇:
輸送能力の減少に伴い、輸送コストが上昇することが予想されます。特に、地方への物流コストが増大することで、商品の価格が上昇し、消費者の負担が増えることが懸念されています。
これらの懸念は、地方の経済や生活に対して大きな負担を強いるものであり、適切な対策が求められています。
2024年問題に関して、いくつかの明るい兆候や対策
1. 自動運転技術の導入:
自動運転トラックや自動航行船の導入が進められており、これによりトラック運転手の不足を補うことが期待されています。特に、海上輸送における自動航行技術は、長距離輸送において効率を向上させるため、地方への物流を安定させる可能性があります。
2. モーダルシフトの推進:
トラック輸送から鉄道や船舶輸送へのモーダルシフトが進められており、これによりトラック運転手の労働負担を軽減しつつ、輸送能力を維持する取り組みが進行中です。これにより、特に長距離輸送が必要な地方への物資供給がより安定する可能性があります。
※モーダルシフトの推進とは、主にトラック輸送に依存している物流を、鉄道や船舶など他の輸送手段に切り替える取り組みのことです。このシフトにより、環境負荷の軽減や交通渋滞の緩和、さらには運転手の労働時間削減を目指しています。
3. 労働環境の改善:
トラック運転手の労働環境改善に向けた取り組みも行われています。例えば、運転手の賃金引き上げや、労働時間の短縮による働きやすい環境づくりが進められています。これにより、新たな運転手の確保が進み、物流業界全体の人手不足を解消する一助となることが期待されています。
これらの取り組みが成功し、2024年問題による負の影響を軽減し、地方を含む全国的な物流ネットワークの安定を図ることができるとよいですね。
SOURCE
World Economic Forum
The Japan News Yomiurishinbun
Mitsubisi Reserch Institute
NHK一分でわかるニュース
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