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工場で組んだパレットをなぜ空港で崩すのか?


工場で組んだパレットをなぜ空港で崩すのか?

航空輸送セキュリティとコストのジレンマ


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最近、航空輸送の現場でよく起きているのが、「工場で綺麗にパレタイズした貨物を、空港でいったん開梱して爆発物検査をする」というケースです。


荷主側から見ると、「せっかく予算をかけて安全にパレットを組んだのに、なぜまた崩すのか?」という疑問が湧きます。


背景には、国際民間航空機関(ICAO)や各国当局による “100%検査” の流れがあります。2010年代以降、旅客機に積まれる貨物は基本的に全量検査が義務化され、2021年以降は貨物専用機を含む国際航空貨物にも厳しい基準が適用されるようになりました。


特に懸念されているのが「爆発物混入リスク」です。多くの国では、原則としてピースレベル(1箱単位)での検査が求められており、大きく厚みのある一体パレットは、X線や爆発物探知装置だけでは十分に中身を判定できないことがあります。その結果、空港ではパレットを解体し、個々のカートンをX線・ETD・場合によっては手検査する必要が生じます。(QProducts & Services)


当然ながら、この追加作業は時間・人件費・破損リスクを増やします。検査後には再パレタイズも必要なため、「セキュリティハンドリング料」や「再パレタイズ料」としてコストが上乗せされ、最終的には荷主の予算を圧迫する結果になります。ピーク時期には検査待ちでフライトに間に合わない、といったリスクも無視できません。(iContainers)


とはいえ、航空会社や空港側にとっては、安全が最優先です。一度事故が起きれば、人命だけでなく路線停止や保険料高騰など社会的コストは計り知れません。その意味で、「開梱してでも確実に検査する」ことは、現場としては避けて通れない判断でもあります。

では、安全を維持しながら、どうすればコストと利便性を従来レベルに近づけられるのか。ポイントはいくつかあります。


1. サプライチェーン上流で検査を完了させる

ICAOは、「空港だけでなく、サプライチェーンのどこかで適切な検査とセキュリティ管理が行われていればよい」という考え方を採用しています。(tc.canada.ca)

多くの国では、


  • レギュレーテッド・エージェント(Regulated Agent)

  • 既知荷主(Known Consignor)

  • 認定スクリーニング施設(CCSF など)


といった制度が整備されており、工場や倉庫側でピースレベル検査を済ませ、封印・記録管理をしたうえで空港まで運ぶ仕組みが広がっています。条件を満たせば、「工場で検査 → そのままパレタイズ → 空港では開梱不要」という流れをつくることも可能です。(tsa.gov)



2. フォワーダーや検査専門施設の活用

荷主が自社で検査設備を持つのは現実的でない場合も多いため、フォワーダーが運営するオフエアポート型のスクリーニング施設を利用する方法があります。空港に持ち込む前に倉庫で検査とパレタイズを終わらせ、「スクリーニング済み貨物」として引き渡すことで、空港側での解体作業や混雑の影響を抑えられます。(tc.canada.ca)


3. 「検査しやすい梱包」を設計する

それでも空港側での検査が必要になるケースは残ります。その際、

  • 各カートンへの個別ラベル貼付

  • 同一品目ごとの階層パッキング

  • 過度なバンド掛け・金属部材の使用を避ける

といった工夫をしておくと、検査・再パレタイズの負荷を軽減できます。実際、TSAなども「ピースレベル検査を前提としたラベリングや外装設計」を推奨しており、検査プロセスを意識した梱包は、荷主・フォワーダー・空港の三者にとってメリットがあります。(Mohawk Global)


「工場で完璧に組んだパレットを空港で崩すなんて非効率だ」という感覚は、現場として当然です。ただし、世界的な100%検査の流れは後戻りしません


だからこそ、「どこで・どう検査するのが一番安全で、一番コストを抑えられるか」をサプライチェーン全体で設計し直していくことが、これからの航空輸送には求められているのだと思います。




-----上記参考リンクまとめ-----







 
 
 

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