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執筆者の写真SUIKA Pacific

国際基準の木箱燻蒸処理について Vol2.


国際的に物品を輸送する際、特に木材を使った梱包材を利用する場合には、国際基準に基づいた燻蒸処理が必要です。木材梱包材は、害虫や病害の伝播を防ぐために特別な処理を施す必要があります。これにより、世界各国は森林資源や生態系を守ることができ、貿易による外来生物の侵入を防ぐことができます。


ISPM15とは


国際基準に基づく燻蒸処理は、主に「ISPM15」という規定に従って行われます。ISPM15(International Standards for Phytosanitary Measures No. 15)は、国際連合の食糧農業機関(FAO)が定めた植物検疫措置の一つです。この規定では、国際貿易において使用される木材梱包材(木箱、パレット、スキッド、ドラムなど)が、害虫のリスクを最小限に抑えるために処理されることを求めています。


ISPM15の下で、木材梱包材は主に2つの処理方法が認められています。1つは熱処理(HT:Heat Treatment)で、もう1つは臭化メチル(MB:Methyl Bromide)処理です。これらの処理を施した梱包材には、ISPM15のロゴマーク、国コード、処理方法(HTまたはMB)、燻蒸を行った施設の識別番号がスタンプされることが義務付けられています。このスタンプは「焼印」や「スタンプマーク」とも呼ばれ、適切に処理された木材であることを示す重要な識別方法です。


熱処理(HT:Heat Treatment)


熱処理では、木材を一定の温度で加熱し、木材内部に潜む害虫や病原菌を完全に死滅させます。具体的には、木材の芯まで56℃以上の温度で30分間以上加熱する必要があります。熱処理は、環境への負荷が少ないため、特に推奨される処理方法です。多くの国で、熱処理は臭化メチルよりも優先して採用されています。


臭化メチル処理(MB:Methyl Bromide)


臭化メチル処理は、燻蒸ガスを使用して木材に含まれる害虫を駆除します。臭化メチルは効果的な燻蒸剤ですが、オゾン層を破壊するという環境問題があり、その使用は国際的に規制されています。そのため、できる限り使用が避けられ、熱処理が推奨されていますが、特定の条件下では臭化メチル処理が求められることもあります。


燻蒸処理の重要性


国際貿易において、未処理の木材梱包材は、外来害虫の侵入や、輸出入国間での植物病害の拡散を引き起こすリスクがあります。これらの害虫や病原体が新しい地域に侵入すると、その国の森林や農業に多大な被害を与える可能性があります。例えば、アジアカビ虫やエメラルドシダレウスリボガなどの害虫は、輸入された木材を介して世界各地に広がり、深刻な森林被害を引き起こしています。


燻蒸処理が適切に行われていない場合、輸出先の国で荷物が拒否されたり、処分されたり、強制的に再輸出されたりする可能性があります。そのため、適切な処理と証明書の取得が不可欠です。また、燻蒸処理を受けた木材であることを証明するためのスタンプが外装に表示されていない場合、国境での検査が通過できず、通関手続きが遅延するリスクもあります。


おわりに


国際基準の木箱燻蒸処理は、貿易における重要な要素であり、各国の生態系や森林資源を守るために不可欠です。輸出入に関わる企業は、ISPM15規定に基づく適切な処理を行い、必要な証明書を整えることが大切です。これにより、国際的な輸送におけるリスクを最小限に抑え、スムーズな取引を実現することができます。


詳細につきましては、お取引のあるフォワーダーや梱包会社さんにお問い合わせください。


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