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FIATA Model Rules for Freight Forwarders ─ 国際フォワーダー業務の“憲法”を読み解く


1. FIATA とは?

国際貨物フォワーダー協会連合(FIATA: International Federation of Freight Forwarders Associations)は、世界 150 か国超・4 万社以上のフォワーダーを代表する業界団体です。


航空・海上・陸上を跨いだ多層サプライチェーンを束ねる立場から、標準化された業務約款や書類(FIATA B/L、FIATA Waybill など)を策定しています。



2. Model Rules for Freight Forwarding の目的

  • 契約リスクの均一化 ― 国・法律の違いを越えた“共通ルール”を提示

  • 責任範囲の明確化 ― フォワーダーと荷主・荷受人との責任/免責ラインを標準化

  • 紛争コストの削減 ― 手続・管轄・時効を定型化し、係争コストを最小化


3. Waiver of Subrogation と FIATA の思想


国際物流の現場では、ひとたび事故が起きるとフォワーダー・海運会社・倉庫業者・荷主など多層の当事者が「誰の責任か」をめぐって求償の応酬を始めます。


FIATA Model Rules は、こうした“求償ループ”こそ国際輸送コストが膨らむ最大要因と位置づけ、荷主に対して オールリスク保険に代位求償権放棄(Waiver of Subrogation)を付帯する ことを推奨しています。


保険会社が代位求償権を放棄すれば、事故後の損害は保険金で完結し、協力会社同士が相手を訴えて回る必要がなくなります。


結果として、プロジェクト全体のキャッシュフローとタイムラインが守られ、最終的には荷主自身のブランド価値が毀損しない――これが FIATA が掲げる「サプライチェーン全体最適」の哲学です。


この哲学は FIDIC や NEC といった国際建設契約でも共通です。


いずれも「同じプロジェクトに従事する者同士で求償しない」「まず保険で解決する」ことを契約条文として明文化しています。


当社が展示会物流で Waiver 付き保険を必須条件とするのは、こうした国際標準に根ざしたリスクマネジメントです。


保険料の追加負担はインボイス額の 0.02〜0.05%程度にすぎませんが(条件によっては変わりなし)、


求償リスクを放置した場合の潜在コスト――訴訟費用、作業遅延、サプライヤーの倒産による機会損失――を考えれば、最も安価で確実な危機回避策といえます。 



「事故は保険で完結し、現場の手を止めない」。


FIATA のルールが示すこの原則は、


今後の展示会物流やプロジェクト貨物輸送でも、より一層重視されるでしょう。

 
 
 

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