コンテナの番号は、貨物を輸送する際に使用されるコンテナの一意の識別番号であり、国際的に標準化されています。コンテナ番号は、貨物の追跡や管理を容易にし、全世界の港や輸送業者が同じ基準でコンテナを特定できるようにするために重要です。コンテナ番号は、通常、コンテナの外側に記載され、船積み書類や通関手続きなどでも使用されます。
1. コンテナ番号の構成
コンテナ番号は通常、11桁の文字列で構成されており、次のような形式になっています。
a. 前の4文字:オーナーコード
最初の4文字はコンテナの所有者を示すアルファベットで、オーナーコードと呼ばれます。これにより、コンテナの持ち主が誰であるかを特定できます。たとえば、「MAEU」はMaersk(世界的な船会社)、「CSQU」はCMA CGMの所有するコンテナを意味します。
- 最初の3文字は、コンテナ所有者の識別子です。
- 最後の1文字は、常に「U」で終わります。これは、コンテナが「貨物コンテナ(freight container)」であることを示します。他にも、「J」や「Z」といった記号が使われることもあり、特定のタイプのコンテナや機材を区別します。
b. 次の6桁:シリアル番号
次の6桁は、シリアル番号です。この番号はコンテナごとに一意で、オーナーコードと組み合わせることで、世界中に1つしかない特定のコンテナを識別できます。
c. 最後の1桁:チェックデジット
最後の1桁はチェックデジットと呼ばれ、この数字はコンテナ番号全体の正確性を確認するためのものです。この数字は、特定の計算方法によって生成され、誤った入力やデータ処理ミスを防ぐために利用されます。コンテナ番号が正しいかどうかを判断するために、このチェックデジットを使って確認することができます。
2. コンテナ番号を決めるのは誰か
コンテナ番号は、コンテナの所有者またはリース会社によって割り当てられます。以下がコンテナ番号の決定に関与する主な団体や機関です。
a. コンテナ所有者(船会社やリース会社)
大手の船会社(Maersk、MSC、CMA CGMなど)やコンテナリース会社(Triton、Textainerなど)は、自社のコンテナに番号を割り当てます。これらの番号は国際的に標準化され、特定の規則に基づいて一意の番号が付けられます。
b. BICコード(Bureau International des Containers)
コンテナ番号の先頭のオーナーコードは、BIC(Bureau International des Containers)という国際団体によって管理されています。BICは国際貨物輸送におけるコンテナの識別基準を統一する役割を担っており、船会社やリース会社はBICからオーナーコードのライセンスを取得します。
BICコードは、ISO 6346規格に基づいて発行されます。この規格は、コンテナの識別、マーキング、追跡のための国際標準を提供しており、全世界のコンテナ輸送業界がこれに従っています。
c. 国際海事機関(IMO)および国際標準化機構(ISO)
コンテナ番号の構造や割り当てに関しては、国際標準化機構(ISO)が定めた規則に従っています。ISO 6346規格がコンテナ番号の形式やチェックデジットの計算方法を規定しており、この規格に基づいて全世界で統一されたコンテナ番号が運用されています。
3. コンテナ番号の重要性
コンテナ番号には次のような重要な役割があります:
- 貨物追跡: 輸送中のコンテナは世界中を移動しますが、コンテナ番号を使えば、どこにあるか、どの港で通関手続きを行うか、またどの顧客が所有しているかを正確に追跡することができます。
- 通関手続きと輸送書類: コンテナ番号は、B/L(Bill of Lading)や輸出入通関書類に記載されるため、正確な情報が必要です。通関手続きでコンテナ番号に誤りがあると、貨物の遅延や追加費用が発生する可能性があります。
- 保険や事故対応: コンテナ番号は保険契約や事故が発生した際の調査にも利用されます。紛失や損傷した貨物を特定するためにも重要です。
- 設備管理: コンテナの所有者やリース会社にとって、コンテナ番号は資産管理の重要なツールです。どのコンテナがどの港にあり、どの顧客に貸し出されているかを把握し、適切な保守管理を行うために使用されます。
4. チェックデジットの役割
コンテナ番号の最後の1桁であるチェックデジットは、コンテナ番号の入力が正しいかどうかを確認するための数字です。間違って番号を入力した場合、このチェックデジットによって誤りが検出されることがあり、番号の正確性を確保するための役割を果たしています。
チェックデジットの計算は、コンテナ番号の各文字や数字に対して特定のルールに基づいた計算を行い、最後に1桁の数字を導き出す方法で行われます。
一旦まとめ
コンテナ番号は、国際物流において貨物やコンテナの追跡・管理に欠かせない一意の識別番号です。番号の割り当ては、コンテナの所有者やリース会社が行い、BICコードやISO規格に基づいて統一的に運用されています。この番号は、貨物の追跡、通関手続き、事故対応など、さまざまな物流業務において重要な役割を果たしています。
英数字のペイントはだれがおこなっていますか?
コンテナ番号やその他の識別情報(オーナーコード、シリアル番号、チェックデジットなど)は、コンテナの外側に明確に表示される必要があります。この数字や文字のペイント(塗装)作業は、主に次のようなプロセスを経て行われます。
1. コンテナ製造時のペイント
コンテナが製造される段階で、番号や識別コードが最初にペイントされます。通常、コンテナは中国や韓国を含むアジア諸国の大手コンテナ製造会社によって大量生産されており、製造プロセスの一環として、識別情報がコンテナの側面や扉に塗装されます。
- 製造会社が実施: コンテナ製造業者が、ISO 6346規格に従って番号や識別コードを正確にペイントします。ペイントは、耐久性があり、コンテナが厳しい環境(海上や港での露出など)に耐えられるよう、特別な防錆塗料が使われます。
- 自動化されたペイント工程: 多くの工場では、番号やコードのペイントは自動化されたプロセスで行われ、正確で均一な仕上がりが確保されます。この際、オーナー(船会社やリース会社)の指示に基づいてコンテナ番号やその他の必要な識別情報が塗装されます。
2. リース会社や船会社の指定
コンテナがリース会社や船会社によって購入されたりリースされたりする際、その会社の識別コード(BICコード)やロゴがペイントされます。これも、通常はコンテナの製造時またはリース契約時に行われます。
- 船会社やリース会社の指示: コンテナ所有者は、自社の識別コードやロゴを指定して、製造会社や専門の業者にペイントさせます。例えば、「MAEU」はMaerskのコードであり、これがコンテナ番号の一部としてペイントされます。
3. コンテナメンテナンス時の再ペイント
長期間の使用や輸送中の摩耗、損傷によって、ペイントが剥がれたり、識別番号が見えにくくなることがあります。こうした場合、コンテナがメンテナンスや修理のために専用の施設に戻される際に、番号や文字の再ペイントが行われます。
- メンテナンス業者: コンテナの保守や修理を行う業者が、識別番号やコードを再度ペイントします。これには、コンテナの側面や扉に記載されている全ての識別情報(コンテナ番号、オーナーコード、重量情報など)が含まれます。
- リース期間終了時: リース会社からリースされたコンテナが返却された場合、次のリース契約や売却に備えて、コンテナのペイントを更新することがあります。
4. 特別なマーキングやロゴ
場合によっては、コンテナに特別なロゴやマーキングを追加することもあります。例えば、船会社のプロモーションやブランディングの一環として、特定のデザインがコンテナに施されることがあります。このような追加のペイント作業も、専門の業者によって行われます。
まとめ
コンテナ番号や識別コードのペイントは、通常、コンテナの製造段階で行われ、製造会社がISO規格に従って正確に塗装します。また、リース会社や船会社の指示に基づいてロゴや識別コードが塗装されることが一般的です。長期間の使用によって番号が見えにくくなった場合は、メンテナンス業者が再ペイントを行い、識別番号の視認性を維持します。
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